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安全保障と憲法改正、付け焼き刃の「路線転換」 十分な思慮のないままの転換は禍根を残す

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社会が収縮し、国民生活が窮乏する中、安全保障とは何を意味するのか。冷静な議論が必要だ。

参院予算委員会で共産党の小池晃書記局長(右端)の質問に答弁する岸田文雄首相(写真:時事)

ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中で、日本国内でも安全保障政策、さらには憲法改正をめぐる議論がかまびすしくなっている。戦争の衝撃の中で十分な思慮もなしに政策転換を行うことは、禍根を残す。参議院選挙に向けて冷静な議論が必要である。

ジョー・バイデン米大統領は訪日中の5月23日の記者会見で、中国が台湾に武力侵攻した場合に軍事的に関与するのかと尋ねられ、イエスと明言した。これは従来のあいまい戦略を転換するものと、大きな衝撃を与えた。その後、アントニー・ブリンケン米国務長官が26日にワシントンで講演し、「(中国との)衝突や新冷戦を求めず、逆に避ける決意だ」としつつ、中国とのさまざまな面での競争に取り組む決意を示した。米国の政策はこの2つの発言を総合して理解すべきだろう。

アジアにおいても力による現状変更は許さないという原則を守るためには、米国のプレゼンスと自衛隊の備えが必要である。しかし、中国を敵視し、自ら緊張をあおることは避けなければならない。

バイデン大統領は米中の対抗関係を民主主義と専制政治の対立と表現している。確かに、中国国内での人権弾圧に対しては、つねに抗議の声を上げなければならない。

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