「スタンフォード大学院」合格、27歳・元千葉県公立中学校教師の野望とは一体 若手教員は、なぜ米国教育大学院を目指したか?

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「学校は毎年同じことを繰り返し、新しいことをしなくても倒産することもないという点で、企業などと比較すると特殊な空間かもしれません。知識の伝達の方法についても長年の慣習があり、旧来の方法を疑問に思わず、前例踏襲している部分もあります。企業では長い伝統を守るために、あるいは将来も生き残るために新しい試みを続けるべきだという考えがありますが、教員の世界では、競争原理もなくクビ切りもないために、そういった危機感を抱きづらいという部分も確かにあります。ただ、そんな学校も変わりつつあると私は思っています」

実際、コロナ禍で教育のICT化は進展した。明治から始まった公教育150年の歴史から見れば、チョーク、黒板の世界から1人に1台タブレットが導入されたことは非常に大きな変化だと中村さんは指摘する。

部活動指導中の様子(左)、オンライン授業での一コマ(右)

「自分がいた公立中では、コロナ禍が始まり、実際にオンライン授業をスタートさせるまでに1年半ほどの期間がかかりました。仕方のない側面もあるのですが、このスピード感ではやれないこともあり、実際にやってみたからこそ、もっとスピード感を持ってよりよい教育を子ども達に提供できるのではないかと感じたのです。だからこそ、若手教員を集めて現状を変えていきたい、もう一度外から日本の教育を見つめ直してみたいと思いました」

中村さんは、これから教員はどう変わっていけばいいと思っているのだろうか。

「私も将来、教員の世界にまた戻りたいと考えています。ただ、教員の形はこれから変わっていくかもしれません。副業を許可する企業が増えているように、教員をしながら、ほかの仕事に関わってもいいはずですし、私自身も、もし自分が子どもを持ったらこの働き方でいいのだろうか、と疑問に思うところもあります。私はこれから新たな教員像や、新たな働き方を示していきたいと考えています。もともと教員は、仕事の裁量が大きく、自分の思うことを次世代にダイレクトに伝えられる、しかも子どもたちの成長に貢献できるやりがいのある仕事です。教員という仕事はとてつもなく魅力があって、やりがいある仕事なんだよ、若い世代にもそう思ってもらえるように、私はこれから教員の世界を変えていきたいと思っています」

中村柾(なかむら・まさき)
1994年生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。大学時代、米国に2年間留学し、現地の学校で学校初の日本人として教育実習を行った。その体験記を綴った本「日本人は1人だけ~アメリカ教育実習記~」を2016年4月に出版。米国留学後はアフリカのスワジランドで2ヶ月NGOのインターンを経験。ほかにも、インドのNGOでインターン、ホンジェラスの学校でボランティアの経験を重ねた。千葉県松戸市立中学校英語科教員を経て、ハーバード・スタンフォード・コロンビア教育大学院などに合格。この秋よりスタンフォードで学ぶ

(文:國貞文隆、写真:すべて中村氏提供)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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