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EUタクソノミーに原子力を追加か これまで微妙な扱いだったが

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なかぞら・まな 1991年慶応義塾大学経済学部卒業、野村総合研究所に入社。97年野村アセットマネジメントでクレジットアナリストに。社債や国債を分析。モルガン・スタンレー証券、JPモルガン証券を経て、2008年10月からBNPパリバ証券クレジット調査部長。11年から現職。(撮影:尾形文繁)

東日本大震災以降、日本の原子力発電をとりまく環境は極めて厳しい。

2022年2月時点で運転可能な原子炉33基のうち、営業運転の再開はわずか10基、うち実稼働は7基である。稼働できるかは未定のまま待機を強いられているものが23基、建設中3基、計画中6基が控える。ESG(環境・社会・企業統治)の観点でいえば、石炭火力などに比して優良なエネルギー源だが、廃棄処分までの総コストを踏まえると、このまま不稼働資産となる可能性もゼロではない。

日本のエネルギー政策も見直しを迫られている。紛争が起きれば、エネルギー価格は高騰する。依存先を分散できなければ、エネルギーの枯渇もありうる。

昨年、中国が気候変動への対応国に名乗りを上げるため、一気に石炭火力施設を止めて再生可能エネルギーに急転換した結果、うまく移行できず、電力不足に陥ったことも記憶に新しい。このとき中国国内では工場などの閉鎖が相次いだ。どれだけよいことであっても、現状を踏まえず一気に大転換を図ることのリスクが顕在化したといえる。

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