看板揺らぐ経済安保 仕掛け人たちにトラブル続出
政治家、官僚、コンサルそれぞれの立場で経済安全保障をリードしてきた3人が相次いで失速。いま一度政策を見直すときだ。
岸田文雄内閣の看板である「新しい資本主義」の柱、経済安全保障政策が大きく揺れている。今国会での提出を予定する「経済安全保障推進法案」の準備作業のキーパーソンが突然失脚したためだ。
「重要な時期に誠に遺憾だ。判明した事実に基づき厳正に対処する」。2月18日、岸田首相は衆議院予算委員会で藤井敏彦・前経済安全保障法制準備室長の不祥事にそう言及した。
経済産業省出身の藤井氏は国家安全保障局(NSS)の初代経済班長を務めた人物だ。高額な報酬を得て民間のリーダー育成塾で講師を務めていた疑いなどが2月9日に『週刊文春』(電子版)で報じられ、その先手を打つ形で2月8日に更迭されていた。
藤井氏は経済安保に関する講演活動なども活発に行ってきたが、その際に使っていたのが多摩大学ルール形成戦略研究所の客員教授という肩書だ。この研究所には、経済安保政策の旗振り役である甘利明・自民党前幹事長もシニアフェローとして名を連ねている。
そして同研究所の所長である國分俊史氏は日本経済新聞「経済教室」に経済安保に関する論文が掲載されるなど、この分野のオピニオンリーダーというべき存在だ。「國分氏、甘利氏、藤井氏は一体となって動いてきた。とくに甘利さんが國分氏にぞっこんで、新興宗教の教祖と信者のような関係になっている」(経産省幹部)。
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