ソフトバンク巨額投資、「アーム売却頓挫」の暗雲 1兆円規模のリターンが消失、上場で挽回なるか
積極投資を続けるためにも、資金確保の手段を広げる必要があるソフトバンクグループ。アーム売却の頓挫で空いた穴をどう埋めるのか。
「冬の嵐は終わっていない。むしろ強まっているかもしれない」。ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義社長は2月8日、2021年度第3四半期(4~12月期)の決算会見でそう話した。
巨額の利益を生んだ前期から一転、2021年4~12月期の純利益は3926億円と、前年同期比で10分の1近い水準となった。10~12月の3カ月を見ると、純利益は290億円で前年同期比98%減と50分の1だ。約3900億円の赤字を計上した7~9月期からは改善したが、以前のような勢いはない。
約15兆円を運用する傘下のベンチャー投資部門「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」への逆風が止まらない。
7~9月期に中国配車アプリの滴滴出行(ディディ)や韓国EC(ネット通販)大手クーパンの株価が大きく下落し、ビジョンファンドの含み損が膨張。4~12月の累計では7677億円の赤字(前年同期は2.7兆円の黒字)となった。
ファンドの動きが全社業績を左右
これまでSBGの保有株式価値に占める最大資産は、同社が直接保有する中国アリババグループ株だった。ところが、中国政府のIT企業への規制などにより株価下落が止まらず、アリババ比率は2020年3月末の48%から2021年12月末には24%と半減した。
一方でビジョンファンド(1号・2号両ファンドの合計)は11%から41%にまで拡大。ファンドの動きが、今後もSBGの業績を大きく左右することになる。
ビジョンファンドの損失はいっそう膨らむ可能性がある。
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