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[Profile]かきぬま・ようへい 1980年東京都生まれ。早稲田大学大学院文学研究科で博士(文学)の学位を取得。早稲田大学文学学術院教授・長江流域文化研究所所長。専門は中国古代史・経済史・貨幣史。著書に『中国古代貨幣経済史研究』『劉備と諸葛亮』など。
「昼の光に、夜の闇の深さがわかるものか」という言葉がある。暗い場所から明るい場所はハッキリ見えるが、明るい場所から暗い場所は見えないだろうという意味だ。この言葉は、歴史の捉え方という観点から見ても、非常に示唆に富む。
中国古代史、中でも秦や漢の時代について語るとき、真っ先に脳裡(のうり)に浮かぶのは、始皇帝、項羽と劉邦、三国志の武将など、その時代の太陽ともいえる人たちばかり。だが、激動の時代の頂点に君臨する英雄の足取りをもってその時代を理解する、という手法に見落としはないのだろうか。
英雄の陰には、名もなき民の支えがあるものだ。こうした人々の日々の営みの集積もまた、歴史を動かす要因になったことだろう。ならば、その時代に社会を下支えしていた人々は、どのような暮らしをしていたのか。何時に起床し、何回食事をとり、どのようにトイレで用を足したのか。
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