
言葉を失ったあとで(信田さよ子、上間陽子 著/筑摩書房/1980円/352ページ)書影をクリックするとamazonのサイトにジャンプします。
[Profile] のぶた・さよこ 原宿カウンセリングセンター顧問、公認心理師・臨床心理士。著書に『後悔しない子育て』『〈性〉なる家族』『カウンセラーは何を見ているか』など。
うえま・ようこ 琉球大学教育学研究科教授。著書に『海をあげる』『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』、共著に『地元を生きる 沖縄的共同性の社会学』など。
最高の聞き手同士が対話をするとどうなるか。本書はその希有な例である。他人から話を聞くプロである2人が、「聞く」ことの実際を語り合った。
著者の1人である信田さよ子は、カウンセリングの第一人者。原宿に開業したカウンセリングセンターを訪れる人々の話に耳を傾け、依存症やDV(ドメスティックバイオレンス)、児童虐待などの問題にいち早く取り組んできた。
もう1人の著者、上間陽子は、沖縄で未成年者への聞き取り調査を続け、10代で若年出産した少女たちへの支援活動も行う研究者だ。2020年に出版したエッセイ集『海をあげる』が高く評価され、複数の賞を受賞したことは記憶に新しい。
上間にとって信田は、その仕事が臨床心理学への信頼のベースになっているほど尊敬する先達だ。実際に話をすると、信田が感心しながら話を聞いてくれるのに驚いたという。屈託なく肯定してくれるので、なんだか自分がいいことを話しているような気になったと振り返る。
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