金融所得課税の強化を岸田首相が見送った理由 「1億円の壁」巡る議論の背景

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自民党総裁選で盛り上がった金融所得課税の強化。なぜ後退したのか。

岸田文雄首相は金融所得課税の強化を訴えたが…。写真は衆議院議員総選挙後の2021年11月に行われた記者会見の模様(JMPA)

「財務(省)の人たちもいったいどこまで本気だったのか。あの腰の折れ方を見ると、甚だ疑わしいけどね」

2022年度の税制改正であえなく見送りとなった金融所得への課税強化について、経済官庁のある幹部はそう振り返る。

与党税制改正大綱には見直し時期すら盛り込まれず、財務省とすれば完敗ともいえる結果だった。

21年9月の自民党総裁選挙では、立候補者4人のうち3人が金融所得課税の強化に言及。見直し機運が一気に高まっていた中で、最も声高に主張していたのが、岸田文雄首相(当時は前政務調査会長)だった。

総裁選前の記者会見で岸田首相は「令和版所得倍増計画」と称し、「中間層の拡大に向けて分配機能を強化し、所得を引き上げる」と言明。その財源の1つとして挙げたのが「金融所得課税の見直しなど『1億円の壁』打破」だった。

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