
たかい・ひろゆき 神戸大学経営学部卒業、住友商事入社。英国ロンドンで、貴金属や銅・アルミなどの取引を担当。金融事業本部長、エネルギー本部長を経て、2013年住友商事グローバルリサーチ社長、18年同社ワシントン事務所長。20年7月から欧州エネルギー取引所グループ上席アドバイザーに転じる。(撮影:梅谷秀司)
年の瀬を前に世界のエネルギー市場は大きく揺れている。
米感謝祭(11月25日)の前後に激しく動いたのが原油相場だ。OPECプラス(石油輸出国機構とロシアなど)の協調減産効果とコロナ危機からの回復需要増加により、ブレント原油は2021年初めの1バレル=50ドルから11月の86ドルまでじわじわと値を切り上げてきたが、オミクロン株の出現により66ドルまで急落する予想外の展開となった。
約1年かけてゆっくり階段を上り86階まで来たのが、わずか1週間で一気に66階までエレベーターで急降下した感覚だ。今回の動きはオミクロン株の影響だけでなく、裏に政治的な思惑があったと考えられる。
まずは米国が主導した石油戦略備蓄放出作戦である。ガソリン価格高騰を抑制すべくバイデン大統領は感謝祭で全米が休暇モードに入るタイミングで戦略備蓄から5000万バレルの石油在庫を市場に放出すると発表した。しかも日本・韓国・英国・中国にも声をかけて備蓄用の石油在庫を一斉に放出するという奇襲作戦に出たのだ。
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