東芝､会社｢3分割｣に残る懸念 繰り出した新方針

事業をくくり直して経営の合理化を図る。ただ、計画には生煮え感も残る。

11月12日の会見で、4月から緊急登板している綱川社長（中央）は安堵の表情を浮かべた（写真：東芝）

紆余（うよ）曲折の末に1つの答えを示した。11月12日、東芝は新たな中期経営計画を公表し、2つの事業会社をスピンオフ（分離）させる方針を打ち出した。発送電や鉄道、ビルマネジメントなどの「インフラサービス」と、パワー半導体やHDDといった「デバイス」を担当する新会社を設立し、2023年度中に上場させる。

存続する旧「東芝」は半導体メモリー大手のキオクシアと、上場子会社である東芝テックの株式を保有する。東芝は実質的に3分割される格好だ。

17年にスピンオフを円滑化する税制改正が行われて以降、日本のコングロマリット（複合企業）による初めてのケースとなる。東芝の中では、非上場化や事業の切り売りも検討されたが、総合電機の看板を降ろしての再出発を選択した。

「執行側が自信を持って提案した案だ」。東芝の綱川智社長は12日の会見で、今回の決定が大株主であるアクティビスト（モノ言う株主）から押し付けられたものではないことを強調した。一定の方向性を決めた安堵からか、4月から急きょ再登板している綱川社長の頬が緩む場面も見られた。