まず悪い知らせから。ドイツの連邦議会選挙で極右政党ドイツのための選択肢(AfD)は議席を減らしたが、得票率は今回も10%を上回った。絶え間ない内紛や醜聞にもかかわらず、同党はドイツの政治シーンにしっかりと根を下ろしたように見える。しかし一般の想定に反して、極右が苦戦したのは明るいニュースだ。西側民主主義国は文化戦争を宿命づけられているわけではない。
現在の先進国政治はリベラルな国際派と自国第一の土着派の闘争によって形づくられていると多くの識者は言う。確かに単純な「分断」の文脈で理解できる対立も少なくないだろう。だが二項対立の枠に収まらない問題も多い。例えばドイツでは移民問題に対する関心はこのところ後退しており、選挙前には年金、社会保障、気候問題が国民の最大の関心事となっていた。極右にとって誤算だったのは、これらの課題について主要政党が異なる立場を打ち出し、「中道右派対中道左派」という伝統的な競合の構図が復活したことだ。
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