予算編成権は米国では議会、日本では内閣にある。財政健全度の違いはどこから来るのか。

インフラ法案に関して会見するペロシ議長(右端)ら米下院議員(ロイター/ アフロ)
財務省の新事務次官、矢野康治氏は、3人の遺影に見守られて仕事をしている。
1人は石弘光元一橋大学学長。政府税制調査会会長として活躍した「ネアカ」学者だ。2人目は在職中にがんを発病し退任直後に亡くなった香川俊介元事務次官。そして、1997年の財政構造改革法の成立を陰で支えた政治家、与謝野馨氏だ。
財政再建に強いこだわりを示した面々で、オフィスを訪れ3人の遺影を見つけた客人たちは、この部屋の主がどんな決意を持っているのか感じ取ることができる。
概算要求基準も決まり、年末に向けての予算編成が本格化する。コロナ禍の異様な情勢に加え衆議院議員総選挙まで予定され、歳出圧力は高まるばかり。戦うのか、迎合するのか。新次官に率いられた財務省の査定力が問われる。
唐突で申し訳ないが、ここで話は米国に飛ぶ。
最近、興味深いニュースが聞こえてきた。「イヤマーク」が復活するのだという。
イヤマークとは何か。それは連邦議会の議員たちが勝手に予算計上する「つかみ金」のことだ。
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら