就任から数カ月が経ち、バイデン米大統領は政策の軌道修正を考えるタイミングにさしかかっている。中でも見直すべきは外交だ。バイデン氏の外交政策は「民主主義対専制主義」の体制間闘争が軸になっている。米国に近い民主主義国が団結することで、権威主義的強権国家の挑戦に立ち向かう路線だが、これは戦略的に間違っている。米国と中国およびロシアの関係は、バイデン氏が大統領となってから急激に悪化した。
むろん、中ロとの関係が厳しい緊張をはらんだものとなるのは避けられない。とはいえ、足元で過熱する敵対感情によって、外交が決裂、あるいはさらに深刻な事態に陥る危険性は高まっている。気候変動やグローバルな保健問題、核兵器の拡散防止、相互に依存する世界経済の管理といった人類の共通課題に対する協力が妨げられるおそれも強まっている。
バイデン政権はイデオロギー対決色を前面に打ち出した大戦略で一斉攻撃を仕掛けるのではなく、硬軟取り交ぜた外交で中ロの脅威に個別に対処する道を見いだすべきだ。実務的な協力の可能性も探らなくてはならない。
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