バイデン米大統領の巨額財政計画は、社会保障の強化、インフラ、教育の充実によって米国経済をつくり替える可能性を秘めている。だが、コロナ禍後も高水準の財政支出が続く可能性が高いことを踏まえると、増税は避けて通れない。赤字国債の発行には限界があるからだ。こうした理由からバイデン政権は「メイド・イン・アメリカ税制」という大規模な税制改革案を打ち出し、法人課税の強化に動いている。
法人税率の引き上げは正しい。連邦政府税収における個人所得税(社会保険料負担を含む)と法人税の割合は、第2次世界大戦後の10年間では個人が約5割、法人が約3割の案分だった。ところがその後は個人の割合が漸増していき、今では個人が約85%を占めるまでになっている。これに対し、法人の割合は1割に満たない。
それだけではない。米国の企業収益が未曽有の水準に高まる中、労働分配率は戦後の66%から58%まで低下してきている。労働者は経済的な取り分が縮小する中で、かつてない税負担にさらされるようになったということだ。労働と資本とで実効限界税率に著しい不均衡が生じていることは、私の研究でも明らかになっている。前者が25%を超えるのに対し、ソフトウェアや装置といった設備投資の実効限界税率は5%にとどまる。
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