人類にとって気候変動ほどの難題はない。温暖化ガス排出を今後30年以内に実質ゼロにできなければ、気温上昇を産業革命前と比べ2度未満にとどめるという目標は達成の望みすら消え、壊滅的なシナリオが現実味を増す。
その意味で、影響力の大きなビル・ゲイツ氏が対策に声を上げてくれているのはありがたい。同氏は新著で、新しい技術をもっと実験しなければならないと論じている。ただ、ソーラー・ジオエンジニアリング(気候工学)を推奨するのは間違いだ。逆効果となるおそれがあるからである。
気候工学の発想は単純だ。大気中の温暖化ガスを減らせないのなら、太陽光を人工的に遮断して気温を下げればよい、というロジックである。実際に、1991年にフィリピン・ピナツボ火山が噴火した際、噴火煙によって太陽光が遮断され、地球の気温はその後の3年間でおよそ0.5度低下した。今では俊英の多くが気候工学プロジェクトに参画するようになっている。ゲイツ氏自らが支援する案件も多い。
この記事は有料会員限定です。
ログイン(会員の方はこちら)
有料会員登録
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら