有料会員限定

宇宙開発に注力する中国の意図 習近平政権の彼らなりの正義感

✎ 1〜 ✎ 307 ✎ 308 ✎ 309 ✎ 最新
印刷
A
A

人類史の牽引という意義を見いだす共産党。科学者のやる気を引き出すシステムも有効だ。

中国の探査機「祝融」が地球に送ってきた火星地表の様子。国家宇宙局が公表した。探査機の名称は伝説の火の神にちなむ(CNSA/ 新華社/ アフロ)

「この辞書は暗記した。次はもっと分厚いのを覚える」

1996年、私は北京大学に留学した。そこで見たのは、全額奨学金を得て米国に留学するため、ガツガツと勉学に励む中国人学生の姿。当時、学部生宿舎は6人部屋、修士学生は4人部屋。個室がないため、彼らは朝7時から夜11時まで図書館に詰める。食堂もシャワーも、すべて図書館から通う。

50年代にソ連の援助で建設された物理学部の暗い建物には、白黒画面のコンピューターがあり、コマンド入力で電子メールが打てた。学生たちはそこから留学希望先に連絡し、自分の能力と熱意を伝え、見知らぬ教授たちを文字で説得する。それは静かな、しかし熾烈な真剣勝負の場だった。

「君は日本に生まれて運がいい。僕たち中国人は、これくらい努力しないと同じスタートラインに立てない。世界は不平等だ」

あれから四半世紀。不利な条件を一歩一歩克服してきた中国の科学者たちが、いま宇宙開発で次々と成果を挙げる。2016年には、世界初の量子暗号衛星「墨子」を打ち上げた。19年1月には「嫦娥(じょうが)4号」が世界で初めて月の裏側に着陸。20年12月には「嫦娥5号」の回収機が月の土を地球に持ち帰った(米国に続き44年ぶり)。「5号」本体は今年3月に地球と太陽の重力が釣り合うラグランジュ点に到達、地球観測を継続する。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
パチンコ、「倒産」と「リストラ」ドミノの深刻背景
パチンコ、「倒産」と「リストラ」ドミノの深刻背景
空前の中学受験ブーム、塾業界の子ども争奪戦
空前の中学受験ブーム、塾業界の子ども争奪戦
ディズニー大転換「入園者数引き下げ」戦略の背景
ディズニー大転換「入園者数引き下げ」戦略の背景
そごう・西武、後釜に「ヨドバシ」が突如登場の衝撃
そごう・西武、後釜に「ヨドバシ」が突如登場の衝撃
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT
有料会員登録のご案内