プロジェクトを通して意欲を引き出す「探究する学び」 「こたえのない学校」代表理事 藤原さと氏に聞く

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ふじわら・さと 慶応大学法学部卒業、コーネル大学大学院修士。仕事をしながら子育てをする中で「探究する学び」に出合い、2014年、こたえのない学校を設立し小学生向け探究学習や学校向け研修などを実施。18年にはハイ・テック・ハイの教員研修プログラムの日本導入に携わる。
「探究」する学びをつくる:社会とつながるプロジェクト型学習
「探究」する学びをつくる:社会とつながるプロジェクト型学習(藤原さと 著/平凡社/2500円+税/252ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
カリフォルニア州サンディエゴにある高校ハイ・テック・ハイは、生徒の構成が地域の人種構成、親の所得分布と同じになるように抽選で生徒を選んでいて半数は低所得層に属するが、州立大学への進学率は州平均のなんと2倍以上。また、大学を卒業するのが難しい米国で、OB、OGの8割が6年以内に大学を卒業している。この高校を特徴づけるのがプロジェクト型学習だ。

──設立経緯が変わっています。

エンジニア、クリエーターの採用難に陥っていたサンディエゴの通信関連大手クアルコムが、そうした職種を養成できる高校を地元に設立しようと考え、2000年につくられたチャータースクールです。既存の公立校の教育に飽き足りない保護者などがチャーター(設立趣意書)を自治体に提出し認可されると、公費で運営されるので、授業料は要りません。日本の学習指導要領に当たるコモンコアに沿いつつも、かなり自由なカリキュラムを組める。人気校となったハイ・テック・ハイは今や小中学校も擁しますが、学年が上がるにつれ自由度は高くなります。

──展開されるのが、探究する学びの1つ、プロジェクト型学習。

探究を定義づけたのは米国の哲学者パース。命題は問い直され続けなければならず、問い直されることで信念に近づく。その信念は頭の中で完結するのではなく、行為し、失敗し、実際の世界で有用で活用されることによって、真となっていく。その過程が探究です。人は受け取った情報を基に推論し、批判的に思考するので、探究的な学びは人の認知の仕方に合っている。課題解決型学習やアクティブラーニングも含まれます。

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