中国の穀物輸入が3割増に急拡大 背景にあるのは中国国内と海外の穀物価格の逆転

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中国の穀物輸入が急拡大している。中国海関総署(税関)の発表によれば、中国が2020年1~11月に輸入した穀物は累計1億2920万トンに上り、前年同期比29.6%の大幅増を記録した。

背景には中国国内と海外の穀物価格の逆転がある。国内産の穀物価格は外国産に比べて小麦が1トン当たり333元(約5300円)高く、コメは同16元(約255円)高く、トウモロコシは同609元(約9700円)高い。外国産の価格優位は明らかだ。複数の卸売業者は、この内外価格差が需要家たちを外国産の「買いあさり」に走らせていると話す。

中国政府は国内の穀物農家を保護するため、小麦、トウモロコシ、コメの輸入に割当制を採用している。そのうちトウモロコシの20年の輸入枠は720万トン。この枠内なら輸入トウモロコシの輸入関税は1%にすぎないが、枠を超えた場合は最低65%の高関税が課される。20年1~10月のトウモロコシの累計輸入量は728万トンと、前年同期比97.3%増となり、初めてこの割当量を突破した。10月は単月で1年前の12倍の114万トンが輸入された。

中国最大の飼料メーカーである新希望六和は、海外の穀物価格が低迷していた20年4月から9月に年間消費量の3割相当の大量買い付けを行った。同社は「中国国内の穀物価格が引き続き上昇し、輸入拡大トレンドは続く」と予想する。

(財新記者:黄姝倫、原文の配信は12月8日)

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財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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