2020年、富士通と理化学研究所が共同開発したスーパーコンピューター「富岳」が、計算能力で世界トップに立ったことが話題になった。新型コロナウイルス対策のための、富岳による飛沫のシミュレーションの映像を見た人も多いだろう。どんな分野でも世界一は喜ばしいことだ。研究機関にとって広報効果は大きい。
だが、あなたがビジネスや政府組織のリーダーならば、一度立ち止まって考える必要がある。数百年先を見るサイエンスではなく、数十年先を見るテクノロジーの世界では、「世界一」にどの分野でも五輪の金メダルのような価値があるわけではない。各分野の潜在的な市場の大きさに左右される。
必要なのは、その市場は本当に開発競争が激しい分野なのかという視点だ。米アマゾンは研究開発費を年間4兆円以上使っているといわれる(日本最大はトヨタ自動車の約1兆円)。アマゾンはスパコンの開発で上位にいない。極端にいえば、スマートフォンの普及が拡大しているときに、過剰品質の「ガラパゴスケータイ」を開発していることに近い。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら