株主名簿管理人の不正な議決権数の集計。単純ミスと片付けるのではなく、改めて株主総会の実態に目を向けるべきだ。
株主総会での賛成、反対の数をきちんと数えていなかった──。投資家軽視の実態は今年9月に発覚した。三井住友信託銀行とみずほ信託銀行がそれぞれ記者会見を開き、顧客企業の代理人として郵送で受け取った議決権行使書の一部をカウントしていなかったと公表したのだ。
これを受け、9月以降に1000を超す上場企業が株主総会における議決権行使結果について、訂正臨時報告書を提出する事態に発展した。
議決権数の集計で不正な取り扱い(以下、集計外し)をしていたのは、三井住友信託とみずほ信託が集計業務を委託していた折半出資の合弁会社、日本株主データサービス(JaSt)だ。
JaStは総会シーズンに届く膨大な議決権行使書をスムーズに処理するため、長年特殊な事務処理をしていた。具体的には、株主総会が集中する3月、5月、6月、郵便局に依頼して議決権行使書を本来の予定より1日早く届けてもらう「先付け処理」を行ってきた。
集計外しがあったのは、株主総会前日に届いた議決権行使書だった。一般的に事前の議決権行使期限は株主総会の前日が「最終日」と設定されている。JaStは議決権行使書を、その日のうちに機械で読み取っていたものの、郵便の受領日は総会当日になっていたため、集計の対象にしなかった。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら