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菅政権が露呈する自民党ゆえの限界 首相の凡庸な同語反復

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脱炭素など新機軸を打ち出した菅政権だが、自民党ならではの路線や旧習が改革を阻む。

所信表明演説で述べた「国民のために働く内閣」というスローガンも空疎に響く(日刊現代/アフロ)

10月26日に臨時国会が始まり、発足後約40日にして初めて菅義偉政権が国会論戦に臨む。所信表明演説と立憲民主党による代表質問を聞いた時点で得られる情報に基づいて、この政権の課題について考えてみたい。

所信表明では、いくつかの新機軸の提起があった。地球環境問題や社会保障・福祉について消極的という自民党のイメージを払拭するべく、2050年までに温室効果ガス排出をゼロにするという大胆な脱炭素社会を目標に掲げ、不妊治療に保険を適用することを表明した。また、働く女性、大学生などの若者、貧困家庭の子どもに対する政策の拡充も訴えた。これらは党派を超えた喫緊の課題であり、政策の深化が求められる。

しかし、自民党ならではの限界も見られる。脱炭素社会の実現のために原子力発電を存続させるのが自民党政権の路線である。これは、再生可能エネルギーの拡大による脱炭素社会を目指す世界の趨勢に反するガラパゴス化の道である。東芝や日立製作所など原発関連の会社の苦境を直視しない反産業政策といってもよい。放射性廃棄物の最終処分場を金の力で過疎の地方に押し付ける動きが繰り返されているが、過去の失敗からまったく学んでいない。

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