農村市場をターゲットにした異色の電気自動車(EV)が快走している。低価格車を得意とする上海GM五菱汽車が開発した「宏光MINI EV」がそれで、7月24日の発売から20日間で1万5000台を販売した。さらに5万台のバックオーダーを抱えており、同社は宏光MINI EVの生産能力を月産2万台に増強する計画だ。
宏光MINI EVは搭載するリチウムイオン電池の容量の違いによって航続距離120キロメートルと170キロメートルのモデルがあり、最も安いグレードの価格はわずか2万8800元(約44万円)。これは中国の農村部で広く普及している「低速EV」に迫る低価格だ。低速EVとは、一般的には鉛蓄電池を搭載し最高速度が時速70キロメートル以下の4輪のEVのことで、その価格帯は1万~3万元(約15万~46万円)だ。
低速EVは中国では一種のグレーゾーン商品であり、法規上は「自動車」に分類されず、ドライバーは運転免許を取得する必要がない。圧倒的な低価格を武器に(当局の監督が緩い)農村部や地方の小都市で「いつのまにか」急成長を遂げ、2017年には約130万台が販売された。
宏光MINI EVは、正規のEVでありながら、最初から低速EVの市場に狙いを定めた。「これからはより低い価格帯でないと勝負できない」。低速EV業界のある関係者は、そう危機感をあらわにした。
(財新記者:安麗敏、原文の配信は8月17日)
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