保護者の要望に過敏な学校、教師の覚悟でまだ変えられる 公立小学校教諭 齋藤 浩氏に聞く

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さいとう・ひろし 1963年生まれ。横浜国立大学教育学部初等国語科卒業。佛教大学大学院教育学研究科修了(教育学修士)。日本国語教育学会、日本生涯教育学会会員。これからの時代に合った学校教育のあり方を研究している。著書に『理不尽な保護者への対応術』など。(撮影:尾形文繁)
教師という接客業
教師という接客業(齋藤 浩 著/草思社/1500円+税/214ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
「ウチの子をよく見ていてください」「起きないので毎朝電話してください」「音楽会のピアノ奏者のオーディションに落ちた。審査基準を明確にしろ」。今や学校はクレーム産業だ。そして、サービス業化した学校は少なからぬクレームに応じている。

──いつから、なぜこんなことに。

以前に調査した結果によると、いわゆるモンスターペアレントの事例が格段に増えたのは2010年あたりですが、00年には目立ち始めていました。こうした保護者が出てきた原因を特定するのは難しい。印象でいうと、マスコミ、とくにテレビ番組の影響です。00年くらいから教師をたたくような報道が増えてきました。

ただ、下地はもっと前からあったと思う。学園物のドラマって、最初生徒は教師に反抗するけれど、最後は肩組んで、涙流してというパターンが多いですよね。大人と子供の間にあってしかるべき一線を最後に越えてしまう。そうなると教師はダチ(友達)、あるいはダチ以下で「先生を認めてやる」みたいな話になる。長い年月をかけて少しずつ変化したのではないか。

絶対的に良識的な人、非良識的な人は一定数います。いちばん多い、その間の人たちはテレビ、今ならネットの影響を受けやすい。「村野武範、中村雅俊主演」は1970年代で、「教師=ダチ」と考える厚い層ができた。

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