慰安婦、徴用工が語る日韓歴史問題への本音 ジャーナリスト 赤石晋一郎氏に聞く

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あかいし・しんいちろう 講談社『FRIDAY』や文藝春秋『週刊文春』記者を経て、2019年にジャーナリストとして独立。日韓の歴史問題を中心に取材を続けている。(撮影:梅谷秀司)
韓国人、韓国を叱る: 日韓歴史問題の新証言者たち (小学館新書)
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慰安婦や徴用工などの歴史問題で、「謝罪せよ」「反省せよ」という韓国の主張に、日本はうんざりしている。しかし、そのような主張からは、当事者である彼女ら彼らの本音が見えない。

──メディアの報道は、日本に反省と賠償を求める声ばかりで「韓国人はそれほど日本人を憎んでいるのか」と思ってしまいます。

私も当初は、日本批判が韓国人の本音だと感じていました。ところが、韓国での取材を進めれば進めるほど違和感を覚えるようになりました。例えば、ある慰安婦は「慰安婦問題が日韓対立の棘(とげ)になってはいけない」と私に訴えかけてきました。徴用工の中には「受け取る給料は日本人も韓国人も同じ金額だった」「差別はなかった」と証言する人もいます。

取材で当事者に会って体験を聞いてみると、反日だと思われていた韓国人の違った本音をたくさん聞くことができました。そうした言葉を多くの日本人読者にも知ってもらいたいと思ったのです。

──今年4月、韓国で慰安婦問題を主導してきた団体のトップが、慰安婦支援のために使われる募金などの資金を私利私欲のために使ってきたとの疑惑が発覚しました。

市民団体の「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)、現在の「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)の代表を長らく務めた国会議員・尹美香(ユンミヒャン)氏に対し、慰安婦の李容洙(イヨンス)さんが「当事者の声も聞かず、挺対協が日本との対話を拒否してきた」などと告発したことで問題となりました。李さんは慰安婦の代表的存在であり、尹氏とも活動をともにしてきた人です。慰安婦の中には「性奴隷」という言葉に反感を抱く人もいます。また、日本からの補償金など「汚い金を受け取るな」と挺対協から脅された慰安婦もいます。挺対協の活動に不都合な証言は、無視されていたのです。慰安婦の中に「私たちは利用されている」という不満がマグマのようにたまっていたのも事実でした。

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