日本の企業・産業の活力、すなわち「ビジネスダイナミズム」が失われているのではないか。コロナ禍で日本企業のデジタル化(DX)やデータ活用の遅れが明らかになるにつれて、こうした懸念が強まっている。
日本のビジネスダイナミズムに関して、かつては1990年代の不良債権問題を背景とするいわゆるゾンビ企業の存在が新規参入や退出を妨げ産業の新陳代謝を損ねている、と主張された。しかし近年では、アベノミクスによる景気拡大もあり、この問題は一時的に覆い隠されていた。他方、米国では、日本より強いビジネスダイナミズムが働いていると考えられたが、最近では、その停滞が生産性上昇の阻害要因として強く意識され、実態把握と要因分析が進められている。
本稿では、米シカゴ大学のウフク・アクシジット教授とFRB(米連邦準備制度理事会)のシナ・アテス氏による米国経済の研究に沿って、日本のビジネスダイナミズムをヒト・モノ・カネのような「資源の企業間移動」と「企業のパフォーマンス格差」といった観点から定量的に把握し、最近の特徴と今後の課題を見いだしたい。
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