日本の指導者なら、まずは「お詫び」から始めたであろう。3月26日に開かれた、新型コロナウイルスの拡散に関するG20(20カ国・地域)首脳のテレビ会議。だが習近平国家主席は、それが武漢から広まったことを気にするそぶりは見せなかった。むしろ新型コロナを全人類共通の敵と位置づけ、それを克服するための国際的な大団結の先頭に立つ意欲を表明。さらに、WHO(世界保健機関)の下での広範な医療協力を訴え、産業チェーンの保護や輸出・対外投資の拡大といった経済政策を打ち出し、世界の安定に積極的に貢献する強い意志を示した。
武漢の街が新型コロナで封鎖された頃、日本には、中国で習近平批判が高まり、その政権基盤が危うくなるだろう、という読みがあった。しかし実際に起きたのは、その正反対の現象であった。
中国の常だが、初動の遅れは今回も地方幹部の責任にされた。そして習近平は、まるで時代劇の主人公のように、たるんだ地方幹部を成敗し、医療隊など「英雄」たちを率いてウイルスとの戦「疫」を戦い抜く英明な指導者の役割を演じ切った。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら