現在、日本における中国関連のニュースは、新型コロナウイルスによる肺炎の話題であふれている。状況は中国でも同様だ。人民日報、解放軍報の1面はほぼ同様の紙面構成で、関連ニュースを流し続けている。中国共産党の最大の関心事も、新型肺炎の感染拡大を止めることなのだ。しかし、その関心のあり方は一様ではない。
3月6日、習近平国家主席は、「貧困脱却の戦いに必ず勝利する」という座談会で、「座談会の主目的は、現状を分析し、新型肺炎感染拡大の影響を克服し、貧困脱却の戦いの勝利に力を結集し、計画どおり貧困脱却を達成するという目標を確かにし、全面的に小康社会(ややゆとりある社会)を完成することだ」と述べた。
鄧小平氏の指示である「小康社会の実現」を2020年までに達成するという中国共産党の計画に狂いが生じているからこそ、このような表現になるのだろう。2月に入ると、中国政府は新型肺炎の感染状況や対応について積極的に発信する姿勢を示し始めたが、実際にはそれ以前から新型肺炎感染拡大の事態の深刻さを認識していたのかもしれない。
台湾の報道によれば、1月2日の時点で武漢にある海軍工程大学は「原因不明の肺炎防止、外来者の校内進入の厳格な管理の実施に関する通知」を発出し、実質的に大学を封鎖していた。同通知は、「武漢市衛生健康委員会が『原因不明の肺炎の治療状況報告に関する緊急通知』を発出し、国家衛生健康委員会が武漢に専門家を派遣して業務指導に当たらせている」としていることから、中国共産党指導部は19年末には武漢における新型肺炎蔓延の状況を認識していたと考えられる。
中国にとって、全面的な小康社会の実現と並び放棄できないものの1つが軍事力である。海軍工程大学の早期封鎖は、中国共産党が軍内での新型肺炎の感染拡大を恐れていることを示唆する例だ。
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