中国では、海外からの新型コロナウイルス侵入による「再感染」への警戒が急速に強まっている。庶民の間で一種の排外意識にもつながりかねないムードだ。
中国国内での新型コロナウイルスの感染者数は3月に入って目に見えて減少、とくに発生地の武漢市以外では新規の感染者がゼロの都市が増えている。中国メディアでは「中国は今や武漢市内を除けば、世界で最も安全な場所」といった言い方すら出てきた。筆者の家人の実家がある江蘇省無錫市で聞いても、経済活動の停滞に対する危機感はあるものの、感染への不安は日に日に薄れつつある。
そこで急激に注目され始めたのが国外からのコロナウイルス侵入だ。3月初めからメディアでは「境外輸入病例(国外から入った病例)」の定期的な報道が始まり、例えば3月5日には全国で16の「輸入病例」(甘粛省11、北京市4、上海市1)が報告された。甘粛省の例は、出張先のイランから蘭州の空港に帰国した中国人一行だ。同日、武漢市を除くと新規感染者はこの16例と広東省の1例だけで、海外からの新たな感染者の流入が対策の焦点になっている。
こうした状況の変化に対して、中国国内では「外からの再感染」に対する警戒感が高まっている。3月4日には上海市政府が日本をはじめ韓国、イタリア、イランからの入国者(中国人も含む)に対して一律で14日間の自宅もしくは指定のホテルなどでの隔離措置を義務づけ、即日実施。3月10日からは日本人の観光などについて、15日以内の滞在はビザを免除してきた措置を暫定的に停止した。
中国国内のSNSには「閉門自守(門を閉ざして自らを守れ)」「外国人を中国に入れるな」「海外在住の中国人は戻ってくるな」といった発言があふれている。極端な声は一部ではあるが、中国社会のムードが、自国でのコロナ対策の「成功」を前提に、その成果を死守しようという方向に傾きつつあるのは間違いない。
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