湖北省をはじめとして、中国全土を襲った新型コロナウイルスによる肺炎の流行は、本稿執筆時点(2月14日)ではまだまだ収束の気配が見えない。多くの地域で延長されていた春節(旧正月)休暇も終了し、実体経済への影響とその対策がもう1つの課題として中国にのしかかっている。
当初指摘されたのは春節商戦への打撃など需要面での影響だが、今後はむしろ供給面に与える影響が懸念される。湖北省に立地する自動車関連の企業をはじめ、操業のメドが立っていない企業も多く、世界的なサプライチェーンへの影響が懸念される。またこのまま操業が停止しているととくに中小企業の資金繰りが行き詰まってしまう可能性がある。そうなった場合には、信用危機を伴う連鎖的な不況に突入する可能性も高い。
幸いなことに、この点に関する中国政府の対応は素早かった。2月1日には、中国人民銀行(中央銀行)など経済政策を管轄する5つの政府部門が連名で、新型肺炎流行の影響を最小限にするために金融政策を強化する通知を発した。
この通知を受けて、中国人民銀行は直ちに1.7兆元(約26.7兆円)の資金を銀行間市場に供給したほか、肺炎の流行が深刻な地域を中心に、医療品や生活物資を生産する企業を対象として、人民銀行が定める貸出市場報告金利(LPR)の水準を大幅に下回る低金利融資を実施する方針も示された。このほか、防疫活動を行う企業を対象に各種の減税措置も財政部によって打ち出されている。
もっとも、今回の金融緩和は、肺炎の流行前からすでに行われていた景気対策の延長線上にあるともいえる。例えば、昨年8月に導入された上述のLPRについても、昨年12月の段階で4.20%から4.15%へと小幅な引き下げが行われたところだった。さらには本年の1月にも、金融機関の中小企業に対する貸し出しの増加を促進するため、これらの企業への貸し出しが一定程度のウェートを占める金融機関にターゲットを絞って預金準備率が引き下げられた。
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