グローバル化のリスクが露呈した
――今回の新型コロナショックの本質をどう考えるべきでしょうか。
恐怖心が理性を上回ってパニック的状況になってきているが、この問題の本質は「グローバル化の影の部分」がインパクトを与えているということだ。日本においても、昨年の外国人来訪者が3188万人、日本人出国者は2008万人と、合わせて5000万人を超す人々が国境を越える時代であり、インバウンドを将来6000万人に増やして観光を軸に経済再生を図ろうとしていた。
しかし、人の「移動と交流」に伴ってウイルスも移動するのは当然であって、グローバル化リスクの露呈というのが事の本質の1つである。ヒト、モノ、カネの移動を軸に経済活性化を図ろうとするならば、リスクをどうマネジメントするかが重要だ。緊急避難的な対応だけでは済まない。
新型コロナウイルスの基本性格をBSL(バイオセーフティレベル)で言えば、致死率が7割を超えるエボラ出血熱ウイルスなどが分類される一番深刻な「BSL-4」ではなく、現段階ではインフルエンザと同じ「BSL-2」のレベルとされる。「感染力は強いが弱毒性」というのが特性で、このレベルのウイルスは世界に遍在している。だからこそ、移動と交流が増える中でこうしたウイルスの感染が「常態」となるという覚悟を持って、パンデミック(世界的流行)にしないよう制御していくことが重要だ。
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