「ポスト・コロナ」のパラダイム転換を見据えよ グローバル化のリスクと金融経済の肥大化が露呈した

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寺島 実郎(てらしま じつろう)/1947年生まれ。71年早稲田大学政治経済学部卒。73年早稲田大学大学院修了、政治学修士。同年に三井物産入社。米国三井物産ワシントン事務所長、三井物産常務執行役員などを経て、2016年6月から現職。(撮影:今井康一)

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新型コロナショックの本質とは何か。日本はこの危機にどう向き合うべきなのか。寺島実郎・日本総合研究所会長に聞いた。(取材は3月23日)

グローバル化のリスクが露呈した

――今回の新型コロナショックの本質をどう考えるべきでしょうか。

恐怖心が理性を上回ってパニック的状況になってきているが、この問題の本質は「グローバル化の影の部分」がインパクトを与えているということだ。日本においても、昨年の外国人来訪者が3188万人、日本人出国者は2008万人と、合わせて5000万人を超す人々が国境を越える時代であり、インバウンドを将来6000万人に増やして観光を軸に経済再生を図ろうとしていた。

しかし、人の「移動と交流」に伴ってウイルスも移動するのは当然であって、グローバル化リスクの露呈というのが事の本質の1つである。ヒト、モノ、カネの移動を軸に経済活性化を図ろうとするならば、リスクをどうマネジメントするかが重要だ。緊急避難的な対応だけでは済まない。

新型コロナウイルスの基本性格をBSL(バイオセーフティレベル)で言えば、致死率が7割を超えるエボラ出血熱ウイルスなどが分類される一番深刻な「BSL-4」ではなく、現段階ではインフルエンザと同じ「BSL-2」のレベルとされる。「感染力は強いが弱毒性」というのが特性で、このレベルのウイルスは世界に遍在している。だからこそ、移動と交流が増える中でこうしたウイルスの感染が「常態」となるという覚悟を持って、パンデミック(世界的流行)にしないよう制御していくことが重要だ。

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