伊藤忠のTOBから1年、業績急悪化でデサント苦境 韓国での反日不買運動が打撃に
経営陣を入れ替え新たなスタートを切った直後に異変。震源地は韓国だ。
スポーツ衣料メーカー大手・デサントの経営陣と対立し、筆頭株主の伊藤忠商事が異例の敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けた騒動から丸1年。実質的に伊藤忠傘下に入ったデサントが急激な業績悪化に直面している。
「ここまで状況がひどくなるとは思いもしなかった」。デサントが昨年11月に開いた2019年度中間(4〜9月)決算会見。伊藤忠から送り込まれて6月に就任したばかりの小関秀一社長は、そう言って肩を落とした。
デサントは中間決算発表と同時に、今19年度の年間業績見通しを大幅に下方修正。それまで前年度並みの業績を見込んでいたが、売上高を前年度比8%減の1308億円に、経常利益は同86%減の12億円にまで70億円引き下げた。同社にとってこれほどまでに厳しい業績は、独アディダスとの国内ライセンス契約終了で苦境が続いた00年代前半以来のことだ。
反日不買運動で打撃
業績悪化の主因は韓国だった。昨年7月、日本政府による輸出管理強化で日韓関係悪化に拍車がかかり、現地で日本企業の製品に対する大規模な不買運動が広がった。デサントの製品も対象となり、7〜9月の韓国売り上げは前年より約3割減少。秋以降もダウンジャケットなど単価が高い冬物衣料の販売に影響が及び、デサントの今年度業績は下期の連結経常損益が赤字に転落する見込みだ。
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