今や読者が金を払うのは記者独自の視点がある記事 ノンフィクション作家 下山 進氏に聞く

✎ 1〜 ✎ 235 ✎ 236 ✎ 237 ✎ 最新
拡大
縮小
しもやま・すすむ 1986年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、文藝春秋入社。93年米コロンビア大学ジャーナリズムスクール国際報道上級課程修了。2019年文藝春秋退社。18年から慶応義塾大学総合政策学部特別招聘教授。著書に『アメリカ・ジャーナリズム』『勝負の分かれ目』。(撮影:尾形文繁)
渡邉恒雄主筆が「このままでは持たない」と言う読売新聞に対し、日経電子版を成功させた日本経済新聞。新体制で方向転換するヤフー。三者三様の三国志から見通す「メディアの未来」。

──ネットは日経の独り勝ち。

杉田亮毅社長が無料サイト50億円の売上高を捨ててでもデジタル有料版をやると決断した2007年は、ネットの情報はタダが当然という時期。ネットで金を取っていた新聞はウォール・ストリート・ジャーナルだけでした。

まさにイノベーションのジレンマを破った。

日経は1970年代に当時の圓城寺次郎社長が「総合情報化路線」という新聞社のコンセプトを変える方針を打ち出した。分単位で相場などの情報を伝えるQUICKを作り、アーカイブ機能を持つ日経テレコンを作る。紙は情報提供の手段の1つという考えが若い世代に受け継がれたのが大きい。

また、「長期経営計画」というユニークなシステムがあった。30〜50代のエース級人材を局横断で集め、1つのテーマを1年間かけて研究、経営陣にレポートを提出させる。若い頃から日々の仕事とは別に技術革新などの大きなテーマを考える訓練がなされ、新しい市場に出る土壌があった。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内