今や読者が金を払うのは記者独自の視点がある記事 ノンフィクション作家 下山 進氏に聞く

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しもやま・すすむ 1986年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、文藝春秋入社。93年米コロンビア大学ジャーナリズムスクール国際報道上級課程修了。2019年文藝春秋退社。18年から慶応義塾大学総合政策学部特別招聘教授。著書に『アメリカ・ジャーナリズム』『勝負の分かれ目』。(撮影:尾形文繁)
渡邉恒雄主筆が「このままでは持たない」と言う読売新聞に対し、日経電子版を成功させた日本経済新聞。新体制で方向転換するヤフー。三者三様の三国志から見通す「メディアの未来」。

──ネットは日経の独り勝ち。

杉田亮毅社長が無料サイト50億円の売上高を捨ててでもデジタル有料版をやると決断した2007年は、ネットの情報はタダが当然という時期。ネットで金を取っていた新聞はウォール・ストリート・ジャーナルだけでした。

まさにイノベーションのジレンマを破った。

日経は1970年代に当時の圓城寺次郎社長が「総合情報化路線」という新聞社のコンセプトを変える方針を打ち出した。分単位で相場などの情報を伝えるQUICKを作り、アーカイブ機能を持つ日経テレコンを作る。紙は情報提供の手段の1つという考えが若い世代に受け継がれたのが大きい。

また、「長期経営計画」というユニークなシステムがあった。30〜50代のエース級人材を局横断で集め、1つのテーマを1年間かけて研究、経営陣にレポートを提出させる。若い頃から日々の仕事とは別に技術革新などの大きなテーマを考える訓練がなされ、新しい市場に出る土壌があった。

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