かんぽ生命、放置されてきた「営業現場の暴走」 問題発生を本部は以前から認識していた

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両トップは「全体の問題を把握したのは直近」と言うが、はたして本当か。

10日の会見で質問に答える日本郵便の横山邦男社長(左)とかんぽ生命保険の植平光彦社長。不利益契約や保険料の2重払い、無保険状態の存在を認めた(撮影:風間仁一郎)

「顧客に不利益を生じさせる募集が多数判明し、ご迷惑とご心配をおかけしている」。かんぽ生命保険の販売業務を受託している日本郵便の横山邦男社長は、7月10日の会見でこう切り出した。かんぽ生命の植平光彦社長は、既存契約よりも保険料が高くなるなどの「不利益乗り換え」が約2万4000件あることを認めた。

ほかにも保険料の2重払いが約2万2000件、無保険状態で放置された契約が約4万7000件あったことがすでに判明している。

これらはあくまで2014年4月以降、または16年4月以降の数字である。複数の現役局員によると、顧客の意向に沿わない「乗り換え推奨」など、悪質な営業が広がり始めたのは10年ほど前だという。

「当時、顧客にどんどん乗り換えさせている局員がいて、その情報が本部にも上がったが、当事者はまったくおとがめなし。それで『やってもいいんだ』と保険販売の現場が理解し、同様の手法が全国へ広がった」

こうした営業が横行した構造的要因として、別の現役局員は「『数字』と『手当』が元凶だ」と指摘する。「数字」とは営業ノルマの達成額としてカウントされる実績。「数字」は日々管理され、「成約がない日は『数字は人格。数字がゼロということは人格がゼロということだ』と上司に叱責された」(ある局員)。

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