仮想通貨「リブラ」が抱く金融インフラ創設の野望 テックジャイアントが主導するプロジェクト

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瞬時・安価な送金サービスを実現するという目標に向けて走り始めた。

フェイスブックが主導する仮想通貨。個人情報の扱いで問題を起こしただけに、規制当局の目も厳しい(Thomas Trutschel/Getty Images)

米フェイスブックが発表した仮想通貨「Libra(リブラ)」。全世界で20億人を超える利用者を抱えるテックジャイアントが主導するプロジェクトの出現で、下火になりつつあった仮想通貨に再び注目が集まっている。

公表資料に記されたリブラのミッションは、「シンプルでグローバルな通貨と金融インフラになること」。スイス・ジュネーブに本拠地を置く非営利組織「リブラ協会」が母体となり、世界中で、瞬時に、安価で送金できる環境を整えるとしており、サービス開始は来年前半を予定する。

注目すべきは参画企業の豪華な顔ぶれだ。リブラ協会の「創立者」として発表された30近くのメンバーには、イーベイやウーバーといったサービス事業者や、ビザ、マスターカードなどのカード会社も名を連ねる。ただし、既存の金融を担う銀行は1つも入っていない。

創立者には条件があり、企業価値などで一定の規模が必要になる。現状、その要件を満たす日本のメガバンクにも声はかかっていないようだ。あるメガバンク幹部は「世界にユーザーを持つフェイスブックがリブラを主導することは脅威」と警戒する。別のメガバンク幹部は「発展途上国での送金手段として普及するなら、協会に入る価値はある」と口にするが、当面は様子見だ。協会としては大手企業の賛同を得て、開始当初から世界中で利用を促すのが狙いだろう。運用開始までに創立者を100まで増やすとしている。

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