「定価」が変わる? オークションの時代へ 需要に応じた価格をつける時代へ

✎ 1〜 ✎ 24 ✎ 25 ✎ 26 ✎ 最新
拡大
縮小

5月14日に開かれたサザビーズのオークションで、モネの油絵『積みわら』が落札された。金額はおよそ120億円。印象派の作品としては歴代最高額だという。サザビーズによる予想落札額は60億円ほどだったので、その倍の金額で売れたことになる。これほどの高値になるケースはまれであるが、オークションで美術品が売られるのは珍しいことではない。

大抵の美術品は「一点もの」なので、いわゆる相場の価格はない。ものによっては、いくらでも払うという人がいるから、あまり安値にするわけにもいかない。つまり売る側としては、「この金額で」とうまく価格をつけることが難しいのだ。だから自分で価格をつけるのではなく、オークションを開催して、買う側に競争して価格を決めてもらう。

したがってサザビーズの予想落札額が大きく外れたのは、何もおかしなことではない。そのような商品だからこそ、わざわざオークションを開催する意味があったのだ。

経済学でオークションが注目されるようになった契機は、1990年代から世界各国で開催された周波数オークションだ。これは電波通信事業に必要な周波数免許を、政府が通信会社にオークションで販売するというものだ。この仕組みにより、米国やドイツをはじめとする多くの国の政府は数兆円に及ぶ収益を上げた。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
伊藤忠が「8時前出社」導入で出生率急上昇のナゼ
伊藤忠が「8時前出社」導入で出生率急上昇のナゼ
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT
有料会員登録のご案内