6月29日、安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領が大阪市で会談した。朝日新聞は、〈安倍政権は北方四島のうち、日ソ共同宣言で平和条約締結後に日本に引き渡すと明記された歯舞群島と色丹島の事実上2島に絞って交渉したが、ロシアの姿勢は軟化せず、今回の会談での合意を断念。両首脳は交渉継続を確認したが、事実上、暗礁に乗り上げた〉(6月30日「朝日新聞デジタル」)と評価する。「事実上、暗礁に乗り上げた」という評価は、北方領土問題は解決しないという意味であろう。今回の会談からそのような結論を導き出すことは早計と思う。
昨年11月14日のシンガポール日ロ首脳会談以後、日本政府は北方領土交渉に対する方針を大きく転換した。新方針について政府は明確な説明をしていない。外交交渉には相手があるので、現在進行している交渉の内容をすべて公表できないのは当然のことだ。筆者は断片的な情報をつなぎ合わせることで、日本政府の交渉スタンスがどのようなものであるかは容易に推定できる。安倍政権は以下のスタンスで北方領土交渉に臨んでいる。
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