広い視野を欠く審議会の政策検討や、明確な説明もなく報告書を葬り去る政府対応など、課題は大きい。
金融庁の金融審議会の報告書が世間を騒がせている。6月3日に市場ワーキング・グループが発表した「高齢社会における資産形成・管理」である。年金以外に老後の生活に2000万円の資産が必要との記述があったことが、極めて強いハレーションを引き起こした。野党からはこれまで政府が主張してきた「年金100年安心プラン」が破綻しているという批判が上がった。新年度予算案の成立後、予算委員会を開催せずに済ませていた自民党も、ついに参議院決算委員会で首相が、「不正確で誤解を与えた」と釈明する事態となった。
与党公明党は山口那津男代表の翌日の記者会見で、公明党に事前説明もなかったことを批判し、「いきなり誤解を招くものを出してきた」と強い異議を唱えた。麻生太郎・金融担当相は、報告書が金融審議会総会で承認されていないことから大臣として受け取らないと表明。森山裕・自民党国会対策委員長も、大臣が受け取らない報告書は「もうない」と述べ、これ以上の国会審議を拒否したのである。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら