昨秋から株式や為替、原油などマーケットが大荒れだ。小康を得た今も方向感は乏しい。最大の焦点は、独り勝ち米国経済の行方だ。
米国のダウ平均株価が2018年10月3日にピークを打って急落に転じ、世界的なマーケットの変調が始まった。引き金となったのが、2人の重要人物が発した言葉である。
1人目が、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長だ。「(景気を加速も抑制もしない)中立金利に達するまでまだ長い道のりがある」。10月3日の発言を市場は利上げ完了には程遠いサインと受け止め、米国の長期金利が3%台へ急上昇。株価は下落していった。
もう1人が、ペンス米副大統領である。同4日の講演で中国による軍事技術など知的財産の窃取や選挙への干渉を強硬に非難し、「トランプ政権は米国の利益を守るため断固対応する」と強調。米紙は「新冷戦への号砲」と評した。市場は米中関税上げ合戦の根深さを悟り、特に対米輸出依存の強い中国経済に対する不安を増幅。世界的株安と原油急落の流れをつくった。
景気後退の影に動揺
11月中旬からは米国の長期金利が反落する中で株安も進んだ。金融引き締めや対中強硬策の返り血、中間選挙後の「ねじれ議会」誕生の影響など、市場は絶好調が続く米国経済の先行きにも懸念を強め出したのだ。社債スプレッド(国債との利回り差)が拡大し、景気後退の予兆とされる長短金利の逆転現象すら発生する事態となった。
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