若くしてマスコミに華々しく名前を取り上げられる人たちを見れば、自分はなんてイマイチなのか、と落ち込んでしまうことがあるかもしれません。
しかし気にすることはありません……というか、むしろ積極的に、あまり若いうちに脚光を浴びることは避けたほうがよいと私は思っています。
というのも、人生の、早すぎるタイミングで脚光を浴びてしまうと、その時期しかできないインプットが足りなくなり、その後のキャリアで、まるで泉が枯れるようにアウトプットできなくなってしまう可能性が高いからです。
この点について考えたときに、いつも思い出してしまう2人のピアニストがいます。
1人は米国のヴァン・クライバーン。そしてもう1人がイタリアのマウリツィオ・ポリーニです。この2人の対比は「あまりにも人生の早い時期に名声を得てしまうと、その後のキャリアを台無しにしかねない」という事実を鮮やかに見せてくれます。
1958年、東西冷戦の真っただ中にあったソ連が科学技術における東側の優位をスプートニク1号の打ち上げ成功で証明した後に、芸術面の優勢をも誇示しようと開設したのがチャイコフスキー国際コンクールです。その第1回で満場一致をもって優勝したのが、西側から参加したクライバーンでした。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら