プラスチックゴミによる海洋汚染が、世界的な大問題となっている。環境問題の実態と、脱プラスチックが日本の産業に与える影響をリポートする。
2050年に海中のプラスチックの重量が魚のそれを超える──。そんな衝撃的な予測をご存じだろうか。これは英国のエレン・マッカーサー財団が、16年の世界経済フォーラム(ダボス会議)で報告した数字の一つだ。
ポイ捨てなどで投棄されたプラスチック廃棄物は最終的に海洋へ流出しており、何の対策も講じない場合は、「25年までに魚3トンにつき1トンの比率にまで増え、50年には、魚よりもプラスチックゴミのほうが多くなる」(同報告)。海洋の生態系や漁業などの経済活動にも多大な影響を与える懸念が、多くの研究者からは示されている。
現在、世界ではこうしたプラゴミによる海洋汚染の問題への意識が急速に高まっている。各国政府や企業は使い捨てプラスチックの使用規制を打ち出すなど、“脱プラスチック”の動きが加速している。
大量生産で使い捨て 年間3億トンのプラゴミ
プラスチックが普及し始めたのは、第2次世界大戦後の1950年代以降のことだ。石油(ナフサ)由来のポリマー(高分子化合物)であるプラスチックは、軽くて丈夫、成形もしやすく大量生産が容易で安価に製造できるという特長がある。産業用資材のほか、紙袋や瓶などに次々と取って代わり、レジ袋やPETボトル、食品包装容器など身近な素材として生活に浸透してきた。
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