Robert J. Marshak●米アメリカン大学公共政策大学院オーガニゼーション・デベロップメント(OD)プログラム名誉上級研究員。組織開発コンサルタントとして著名。
価値観の転換を促す取り組みが不可欠
評者 スコラ・コンサルト プロセスデザイナー代表 柴田昌治
近年、日本企業の人事・人材開発関連の部署において関心が高まっているのが「組織開発」(OD)だ。組織開発部という部署を新設した会社も少なくない。米国発の、組織をより効果的に機能させるための「組織開発」自体はとくに目新しいものではない。しかし今、脚光を浴びているのは昔ながらのデータ分析をもとにした(他者による)診断型のアプローチではない。近年開発され、ワールドカフェやオープンスペースなどの手法で知られるようになっている、対話を通して自分たちの見方や前提の見直し、意味の形成、創発を呼び起こそうという「対話型組織開発」だ。
この対話型のアプローチが日本で注目される理由は、平成の30年間、改革の必要性が叫ばれ続け、それなりの努力がなされてきたにもかかわらず、結果が出ていないためだ。社員のモチベーションは依然として下降の一途をたどっており、労働生産性も先進国の中では突出して低いままの状態が続く。多くの日本企業が直面するこの「組織の機能不全」現象は、今や制度変革やデータ分析などでは解決不能な喫緊の経営課題として認識されるようになっている。
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