定年後の暮らしを豊かにするためにも、ムダな支出を今から見直そう。
「あなたの家庭は、ひと月いくらあれば暮らせますか」と聞かれ、即答できるだろうか。思い浮かばないなら、老後の心配をする前にそちらを確かめたほうがいい。現状の把握なくして「老後にいくらかかるのか」を計算しようというのは、地図も持たずに旅に出るようなものだ。
参考までに政府が発表している「世帯主の年齢階級別消費支出額」の1カ月の平均支出額を見てみよう。40代では約31.5万円、50代では34.3万円。対して、定年後の生活に入る60代では約29万円、70歳以上では約23.4万円となる(下図、総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)」2017年から)。60代でも30万円近くかかっているわけだ。
家計調査によれば定年後も大して食費は減らないし、在宅時間が長くなるからか水道光熱費も落ちない。悲しいかな、医療費は逆に増えていく。減っていくのは収入ばかりだ。嫌でも支出の見直しが必要になる。
払っていることすら忘れている出費に注意
誰もが「ぜいたくなんかしていない、節約できる出費などない」と思っている。しかし自分が払っていることすら忘れているおカネは少なくない。その多くは、口座引き落としやカード払いのため支払いの自覚が薄い、サービス関連の出費である。たとえばスマートフォンの機種変更時に契約したままのアプリや、アップグレードして有料会員になったサービス。初月無料と聞いて会員になったスポーツジムや、ネットの動画配信サービス。入会特典が欲しくて契約したが、ほとんど使っていないクレジットカードの年会費など。ネット通販のプレミアム会員になっている人も要警戒だ。年間4000〜5000円程度だが、自分の利用頻度はその金額に見合っているかを一度自問しよう。
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