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武田を待ち受ける難路 7兆円の巨額買収合意

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世界トップ10に入るメガファーマが誕生へ。その背景と課題。

(上・AP/アフロ、下・撮影:今井康一)

5月8日、武田薬品工業はアイルランド製薬大手シャイアーの買収で正式合意した。買収額は460億ポンド(約6.8兆円)。シャイアー株1株に対し現金と武田株の合計49ポンド相当を交付。2019年上期までにシャイアー株の全株取得を目指す。

実現すれば、売り上げ世界トップ10内のメガファーマが誕生する。日本企業では過去最大の買収案件だ。3月末の1回目の提案からは、買収総額が12%増え、そのうちの現金が2.2兆円から3兆円に膨らんだ。それでも8日の電話会議でクリストフ・ウェバー社長は、「買収初年度から1株当たり利益が大きく増加するすばらしいディール。研究開発型のグローバル医薬メーカーが誕生する」と興奮ぎみに語った。

ウェバー社長の危機感

巨大買収に突き進んだ背景には、ウェバー社長の強い危機感がある。

武田の現状を端的に示すのが、パイプラインと呼ばれる開発候補品の数だ。武田は、製品の承認・販売につながる臨床試験(治験)第三相にある製品が四つと極端に少ない。数年は収益を維持できても、将来の飯の種がない状況だった。

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