「米国産LNG輸入は追い風、トレーディングにも注力」
2018年は米国各地でLNG(液化天然ガス)の出荷基地が相次いで完成する。その結果、数年のうちに(全世界の需要の2割に相当する)6000万トン規模の米国産LNGが世界市場に入ってくることになる。これを契機に、北米、欧州、アジアの三つに分かれていた市場がグローバルに統合されていき、各市場間で価格裁定も働くようになる。
──日本にとってのメリットは何でしょうか。
世界最大のLNG消費国である日本にとって、流動性があり、透明性の高い価格で取引されている北米市場にアクセスできることは非常にメリットが大きい。
日本はこれまでLNGを東南アジアや豪州、中東からの輸入に頼ってきた。取引に際しては受け入れ国や受け入れ港があらかじめ決められていることが多く、調達数量の変更が難しかった。価格も原油価格に連動する形で決められてきた。
これに対して、米国産LNGには「仕向地条項」がなく、輸入側の事情で転売しても構わない。また、価格は米国の天然ガス市況を基に決められる。原油価格が相対的に高い場合には、米国産LNG輸入のメリットが大きくなる。
──17年12月、フランス最大手の電力会社EDFの子会社・EDFトレーディング(EDFT)との間で、LNGトレーディングの協業で基本合意しました。
パイプラインガスを中心とした欧州市場に強い基盤を持つEDFTと協業することで、LNG取引の最適化が可能になる。当社は18年度下期に米国テキサス州のフリーポートLNG基地からの輸入を始めるが、日本国内での需要が減少した場合にEDFの基盤を活用して、欧州のパイプラインガス市場に余ったガスを流せるようになる。
──協業が必要になっている背景には、どのようなことがあるのでしょうか。
日本国内では電力やガスの販売が自由化され、需要が読みにくくなっている。加えて、原子力発電所の再稼働のいかんによって、LNGの需要は大きく変動する。これまでのような硬直的な取引形態では、支障が出てくる。
東京電力グループと中部電力の燃料事業を受け継いだ当社は、LNGの輸入量で世界最大規模のバイヤーだ。それ故、われわれにとってトレーディングを通じた最適化のニーズは高い。EDFTとは電力会社系という共通点があり、考え方も似ている。
──今後の方針については?
トレーディングの拠点となるシンガポールの当社子会社に要員を送り込む。石炭部門を合わせて現在約200人のトレーディング部隊は、230人規模に増員する。体制を整えることで、今後、海外での火力発電所の拡大にも柔軟に対応していきたい。
(聞き手・本誌:岡田広行)
東京電力グループと中部電力の燃料調達および火力発電所の新設・リプレース事業を担う合弁会社のJERA。世界最大規模のLNGバイヤーとして、年間約3500万トンを輸入する。垣見社長は中部電力時代からの燃料調達のキャリアを生かして、海外の供給者や需要家との間で緊密な関係を構築。その信頼関係を基に、仏EDFトレーディング社との協業の年内合意を目指す。






















無料会員登録はこちら
ログインはこちら