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『ユニクロ潜入一年』 『日本思想史への道案内』ほか

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ユニクロ潜入一年
ユニクロ潜入一年(文藝春秋/309ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
よこた・ますお●ジャーナリスト。1965年生まれ。物流業界紙「輸送経済」の編集長を経てフリーランスに。著書に『ユニクロ帝国の光と影』『潜入ルポ アマゾン・ドット・コム』など。『ユニクロ帝国の光と影』をめぐっては、同社から出版社が訴えられたが勝訴が確定。

非正規を仕事漬けにする グローバル企業の実態

評者 中央大学文学部教授 山田昌弘

潜入取材の第一人者である横田増生氏が、戸籍名字を変えてまで、あのユニクロ(ファーストリテイリング)にアルバイトとして入社する。面白くないはずがない。採用面接では素性がばれないかとドキドキし、模範アルバイターとして働きながら取材を続け、最後には見つかって解雇されるまでの1年間を描いている。まるでスパイ小説を読んでいるようだ。

筆者が指摘する恒常的なサービス残業や少ない人員での無理な勤務体制などは、日本企業の問題点として以前から指摘されてきた。グローバル競争を勝ち抜くためにコストダウンを追求し、その最終的つけを発展途上国の下請け業者に押し付ける。業種を問わず、そうした企業行動には批判が絶えない。

興味深いのは、グローバル企業で合理的経営をうたうユニクロでも、同じことが起こっていることである。確かに、地域正社員の創設や、アルバイトに対する評価に基づく賃金支給や正社員への登用など、正社員と非正社員の垣根を小さくするシステムを作っている。その点は欧米的に見える。

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