中国本土の債券を香港市場経由で売買する「債券通」が始まった。海外資金の流入で市場活性化の期待が高まる一方、本土特有のリスクもひそむ。
7月3日、海外投資家が香港経由で中国本土の債券を売買できる「債券通(ボンドコネクト)」が導入された。同日、香港特別行政区の林鄭月娥(りんてい げつが)・行政長官は開通セレモニーであいさつし、「債券通は中国と香港の相互取引の新しい一章になる」と歓迎の姿勢を示した。海外からも、米国、日本に次ぐ世界3位の規模を誇る中国債券市場の本格的な対外開放の第一歩として注目が集まっている。
中国政府は、2014年に上海と香港の株式市場を相互乗り入れする「滬港通(こ こうつう)」を、16年には深圳と香港の株式市場を相互乗り入れする「深港通」の運用を開始するなど、金融市場の対外開放を進めてきた。「債券通」では、資本流出への警戒から国内投資家の海外債券市場への投資は後回しとされ、海外から中国国内への投資のみが解禁されるものの、対外開放の流れを受け継ぐものといえる。
これらの香港市場との相互乗り入れは、それまでの適格外国人機関投資家(QFII)や適格国内機関投資家(QDII)と異なり、参加するための事前審査が必要ない。そのため、多様な民間企業や個人が対外資本投資や外貨取引に参加する「蔵匯於民」(=民間による外貨保有)と呼ばれる状況を生み出してきた。
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