[異色対談] 伊藤邦雄×村上世彰 ROE8%達成で日本を変えろ
村上ファンド設立から18年。昭栄への敵対的買収を仕掛けたデビュー戦や東京スタイルとのプロクシーファイト(委任状獲得競争)で世間の注目を集めたが、村上代表の逮捕で2006年に突如幕を閉じた。一方、ROE8%超を標榜する伊藤レポートは14年発表。日本企業は徐々にだが株主との対話を意識した経営へと舵を切りつつある。日本の社会にはね返された村上氏と主張が受け入れられた伊藤邦雄教授の異色対談。両者に相通ずるものとは。
旧通商産業省(現経済産業省)を辞した村上世彰氏が投資会社M&Aコンサルティング(通称・村上ファンド)を立ち上げたのは1999年8月のことだ。村上氏は昭栄や東京スタイルに投資。「会社の資産を有効活用していないのは経営者の怠慢」「使う予定のない内部留保は株主に返すべき」と主張した。株式を持ち合うなど旧態依然の経営をしていた日本企業への問題提起になったものの、2006年のインサイダー取引容疑による村上氏逮捕で後退。村上ファンドの主張は忘れ去られた。
だが、逮捕から8年後の14年8月、かつて「異端」だった村上氏の主張は世の中の本流へ躍り出る。伊藤邦雄・一橋大学教授(当時。現同大特任教授)が座長を務めた経済産業省の研究会で、最終報告書・通称「伊藤レポート」は、「グローバルに通用する指標はROE(自己資本利益率)。グローバルな投資家に認められるために8%を最低限上回るROE達成に企業経営者はコミットする(=責任を持つ)べきだ」と提言。日本の経済界で大きな反響を呼び、コーポレートガバナンス(企業統治)改革の指針と位置づけられた。
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