
国会で激しい追及を受ける安倍首相。だが、その対応には誠実さが見られない(時事)
この1カ月ほど、議会政治の崩壊現象はかつてないほど深刻である。
安倍晋三首相は加計学園疑惑に関する委員会質疑で、聞かれたことには答えずに無駄話で時間を潰し、自分はヤジを飛ばしながら野党にはヤジを飛ばすなと言う。質問が終わるとつまらない質問だったと聞こえよがしにわめく。小学校の学級会でも、子どもはもっとまじめに話し合いに取り組む。首相は政治家以前の基本的な礼儀作法ができていないのではないか。
森友学園、加計学園の二つの疑惑とそれに対する政府の処理の仕方は、日本が近代的な法治国家から、前近代的な家産制(かさんせい)国家へ逆行していることを示している。家産制とは、文字どおり、権力者の私的財物と国家の公共物との区別が存在せず、権力者の私的な目的のために国家の財物を費消したり、権力を行使したりできる体制である。また、権力者と家産官僚には身分的隷属関係がある。役人は法に基づいて仕事をするのではなく、主君が白を「黒」と言えば、役人も白を黒と言う。
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