安倍晋三首相の盟友が経営する大学の学部新設が認められた。学部新設に慎重な文部科学省に対し、国家戦略特区の名の下に、前のめりな内閣府からは「総理のご意向」が伝えられ、強引に政策決定が進められた。
前川喜平・前文科事務次官が証言したのは、そうした「行政の歪み」の実態だった。野党側は「忖度(そんたく)政治そのものだ」と政権批判を強め、政府・与党は防戦に回っている。
前川氏は、週刊誌、新聞、テレビのインタビューに相次いで答えたうえ、5月25日には記者会見も行った。加計学園が愛媛県今治市に設置を計画していた大学の獣医学部について、内閣府と文科省が協議した際、文科省側が作成したとされる一連の文書について説明。「文科省の事務方が上司への説明用に作成した」「まさに本物だ」と認めた。文書では、内閣府が獣医学部新設について「総理のご意向」であり、「官邸の最高レベルが言っている」ことを明記している。
前川氏は、菅義偉官房長官がこの文書を「出所も明確でない怪文書」と切り捨てたことを念頭に、「あったことをなかったことにはできない」と強く反発。獣医学部新設について、「内閣府に押し切られた」「行政が歪められた」などとも述べている。これに対して、政権側は学部設置の手続きに問題はないと繰り返している。
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