『知の仕事術』を書いた池澤夏樹氏に聞く 「世の風潮に知識人は黙るわけにはいかない」

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自分の中に知的な見取り図を作るためにはどうすればいいのか。文学全集を個人編集する碩学(せきがく)の「知のノウハウ」とは。

──個人編集で『日本文学全集』全30巻を刊行中ですね。

知の仕事術 (インターナショナル新書)
知の仕事術 (インターナショナル新書)(集英社インターナショナル/224ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

現在24冊まできた。3月、4月、5月に近現代作家による短編集を出し、その後角田光代さんの新訳『源氏物語』3冊が出て終わり。

大変な作業だった。全体の基本方針を決め、この作家の何を採るか、30巻の内容セレクションを大ざっぱにしか確定させないまま始めた。作家の全作品を読み直さなければ選べない。古典については現役作家たちに新たな翻訳を頼み、先の『世界文学全集』では翻訳者に解説をお願いしたが、『日本文学全集』の場合は全巻の解説を自分で書いた。最初の1年は自ら『古事記』の翻訳に勤しみ、一生に一度はちゃんと働いてみようと取り組んだ。

──頑張る性格なのですか。

もともとは奮励努力が嫌なたち。頑張らないで、いかに手抜きをするか、工夫する。

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