自分の中に知的な見取り図を作るためにはどうすればいいのか。文学全集を個人編集する碩学(せきがく)の「知のノウハウ」とは。
──個人編集で『日本文学全集』全30巻を刊行中ですね。
現在24冊まできた。3月、4月、5月に近現代作家による短編集を出し、その後角田光代さんの新訳『源氏物語』3冊が出て終わり。
大変な作業だった。全体の基本方針を決め、この作家の何を採るか、30巻の内容セレクションを大ざっぱにしか確定させないまま始めた。作家の全作品を読み直さなければ選べない。古典については現役作家たちに新たな翻訳を頼み、先の『世界文学全集』では翻訳者に解説をお願いしたが、『日本文学全集』の場合は全巻の解説を自分で書いた。最初の1年は自ら『古事記』の翻訳に勤しみ、一生に一度はちゃんと働いてみようと取り組んだ。
──頑張る性格なのですか。
もともとは奮励努力が嫌なたち。頑張らないで、いかに手抜きをするか、工夫する。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
ログイン(会員の方はこちら)
無料会員登録
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
トピックボードAD
有料会員限定記事